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代えの効かない役者

出来事から
09 /18 2018
樹木希林さんが亡くなったという第一報をきいたとき

「これから樹木さんがやっていたような、
訳あり老婆の役はいったい誰が演じるのだろう」

と、最初に思った。
やわらかい笑顔で微笑む樹木さんが演じると
どんな役の老婆もそれまでの人生の深みがそこに浮き上がってくるのだよね。
薄っぺらな人格ではないんだよ、どんな役になっても。

諦め、受け入れた、穏やかだけれどもなぜか悲しい感じのする
あの笑顔は、樹木希林さんの生き方によるものだったと
報道はそんなふうに伝えていて

特に私が尊敬しないわけに行かないのは
最期に近い樹木さんが決して「痛い」と言わず、
自分の苦痛を隠し続けて、他人に気を遣わせまいとしたことだ。

樹木さんは女優さんだから、たぶん記憶や意識に朦朧感の起きる
麻薬系の痛み止めはぎりぎりまで使わなかっただろうと思う。
ときどき、自分の意識がおかしくなることを嫌がって
痛み止めを使わない人たちがいるにはいるけれど
末期がんの痛みは、耐え難いものだというから。
とくに樹木さんは骨転移までしていたのだし、
映画に出ている間だって
並大抵の忍耐で耐えられるものではなかったことだろう。

痛みに耐えて耐えて、それでも笑顔を見せ続けて死んでいくというのは
普通の人間には出来ないことだ。
特に私のような根性なしの泣き虫、痛がりには
絶対に出来ないだろうから、私はモルヒネを打ちまくるだろう。
周囲に気を使ったり、微笑むなんて絶対に出来ないだろうな。

最初に戻るが、代えの効かない俳優女優さんって何人かいる。
古い話で恐縮すぎるけれど、笠知衆さんや大滝秀治さんなどは
ほかの人が演じることが出来ない個性を持ち続けていた。
ああ、岸部一徳さんもそうなりそうな気がする。

そして樹木希林さん。

この人の演じたような役を継げる女優さんは本当にいるのかな。
いるような気がしない。
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